研究内容

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スーパーブロッホ振動

光格子中の冷却原子に,定常外場と振動外場をある条件を満たすように加えると,スーパーブロッホ振動と呼ばれる大振幅のゆっくりした振動が観察されます. その振幅は,振動磁場の振幅と振動数の比に依存します. また,スーパーブロッホ振動の振動数は,振動外場の振動数と定常外場の大きさとの関係で決まります. スーパーブロッホ振動の始まり方(振動の位相)も,振動外場に依存します. その位相については,外場の位相を考慮に入れることで,きれいに説明することができます.

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振動外場による量子波束の振り分け

量子1次元ハイゼンベルク模型やハバード模型の固有状態は,パラメタによって変化します. 相互作用の強い(z方向の異方性が強い)ときには,固有状態が束縛状態と散乱状態とに分かれる場合があります. この系に振動磁場を加えると,実効的な交換相互作用が変化しますが,束縛状態と散乱状態では,それぞれ変化の仕方が異なります. 初期に両方の成分を含んだ量子波束を用意して振動磁場を加えると,それぞれの進む方向やスピードを制御できるため,もとの波束を2つの成分の波束に振り分けることができます.

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量子古典対応を利用したダイナミクスの制御

量子1次元ハイゼンベルク模型(スピン1/2)の単励起の場合は,1粒子系と見なせます. この系に,定在波型の振動磁場を加えたときの量子波束のダイナミクスは,対応する古典系の位相空間断面の性質から,予測することができます. 例えば,波束があまり広がらずに伝送するように振幅,振動数を設定すると,左図のような量子スピン波束のダイナミクスが見られます. これに対応する古典模型を用いて,振動磁場の1周期ごとに位置xと運動量pをプロットしたポアンカレ断面が,右図です. 右図の楕円部分[(x,p) = (25,0) 付近]が,量子波束の初期位置に対応します. この初期波束は白く見えるトーラス部分に位置していて,それが波束の崩れにくさと関係しています.

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1次元量子系でのダイナミクス: エネルギー拡散

次近接相互作用まで含む量子1次元XXZスピン模型に,進行波形の振動磁場を加えると,エネルギー・スペクトルの準位間隔の狭いところで遷移が次々と起こり,基底状態にあった初期状態が,図のようにエネルギー空間を広がっていきます(エネルギー拡散). エネルギー拡散は,磁場の強さや振動数,そして次近接相互作用の大きさ(フラストレーションの強さ)に依存します. 磁場の強さと振動数の積に対して拡散定数をプロットすると,通常拡散が起こる線形応答領域と,異常拡散の起こる非摂動領域があることが分かります. それらの領域の幅はフラストレーションの強さに依存します.

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準位統計

一般に量子系の準位間隔分布(準位統計)は,対応する古典系が可積分ならばポアソン分布を,非可積分ならウィグナー分布を示すとされています. 量子XXZスピン鎖(異方的ハイゼンベルク模型)は,対応する古典系はありませんが,ベーテ仮説で厳密に解ける可積分の模型です. これに次近接相互作用やランダム磁場を加えると,非可積分になります. これらの模型で準位統計を調べた結果,可積分ではポアソン分布,非可積分ではウィグナー分布を示すことが分かりました. つまり準位統計は,ベーテ仮説の意味での可積分性を判断する基準にもなります. ただし,その関係が見かけ上くずれる場合もあります. その理由としては,不完全な非対称化,あるいは有限サイズ効果が挙げられます.

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Dicke模型では, 量子相転移が準位統計の変化と深く関連していることが確認されています. この模型を拡張した擬エルミート(pseudo-Hermitian)Dicke模型は,非エルミートながら全ての固有値が実数です. 擬エルミートDicke模型では,量子相転移と準位統計の変化との対応関係が,ある限られたパラメタ領域でのみ成り立ちます. それは,擬エルミート模型が,通常のエルミート模型よりも大きなパラメタ空間を持つことに起因します.

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Co/Ni多層膜における積層過程の磁区パターン

Co/Ni多層膜では,表面に垂直方向の磁化が現れ磁区パターンが観察できます. スピン偏極低エネルギー電子顕微鏡(spin polarized low energy electron microscopy, SPLEEM)による実験では,Coを1原子層とNiを2原子層のペアをW(110)基板上に積層していくと,初めのうちは積層するごとに磁気異方性が面内→面直→面内と変化し,積層ペアが増えると面直方向の磁化が安定になる様子が観察されました. この磁区パターンの変化をLandau-Lifshitz-Gilbert(LLG)方程式を用いて数値シミュレーションすると,くっきりとした磁壁など実験で観察された磁区パターンの特徴が再現できます.

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スピノルBECの磁区パターン

スピン自由度を持つボース-アインシュタイン凝縮(BEC)では,強磁性相互作用などの効果により,磁区パターンが現れることがあります. たとえば,多成分のGross-Pitaevskii方程式を用いた数値シミュレーションで,図のような磁区パターンを生成することができます (左図: 横磁化, 右図: 縦磁化).

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また,ある仮定のもとでは,スピンの自由度だけに着目することで,流体方程式という簡潔な形の方程式に書き換えることができます. 流体方程式を用いると,スピンのダイナミクスに関して,より直観的でストレートな理論解析が可能になります.

また,散逸のある場合の流体方程式は,金属磁性体のスピンダイナミクスを記述する方程式と同じ形をしています. このため,強磁性薄膜で見られたのと同様な磁区パターンを再現することもできます.

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強磁性薄膜の磁区パターン形成

強い一軸異方性を持つ強磁性薄膜では,上向きと下向きのスピンによる磁区パターンを観察することができます. いったん飽和磁場以上の磁場を印加した後で,ゼロ磁場まで磁場を掃引すると,図のような特徴的な長さを持った磁区パターンが現れる場合があります. このとき,掃引速度が速いと左図のような海島構造が,遅いと右図のような迷路構造が観察されます. 簡単な理論模型を用いたシミュレーションでも,同様のパターンが再現できます. [→ もっと詳しく]

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振動磁場中では,格子状や同心円上のパターン, 振動の速さに比べて非常にゆっくりと並進する磁区パターンなど, さらに興味深いパターンが見られます. 振動外場がパターン形成に及ぼす影響を理論的に議論するには, 扱う変数を,速く振動する部分と遅く変化する部分に分けて考え, 振動磁場の影響を遅い変数の方程式に取り込んで解析する方法があります.

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ずり流動場誘起のオニオン相

水と界面活性剤の混合系で,ラメラ相(平行に並んだ多層膜)にずり流動場を加えると, 多層膜ベシクル(タマネギのように同心球状に集合した二重膜:オニオン)で充填されたオニオン相へと転移する場合があります. オニオン相では,オニオンが図のように2次元面上にならび,シート状になって流れていることが,実験から示唆されています. これを上から見たときに,オニオン表面の高さに注目すると,パターン形成の問題として理論模型を構築することができます. この模型を使った数値シミュレーションによって,実験では観察しづらい実空間でのオニオン相のパターンを再現することができます.

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デング熱の数理モデル

デング熱は,蚊を媒介して広がる感染症です. 熱帯・亜熱帯地域で流行することが多い病気ですが,まれに非熱帯の都市でも流行することがあります. 東京のような都会は,蚊が多く生息する公園のような緑地と比べて,住宅街では蚊が比較的少ないのが特徴です. また東京では,蚊の活動時期は1年の中で数ヶ月と限られています. このような状況では,公園と住宅街の間の人の往来を制限しても,逆にデング熱に感染する人が増える場合があるということが,数理モデルを使った計算から示唆されます.

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学会のプログラム編成の半自動化

複数の会場で講演が同時進行する学会や研究会のプログラム編成は,複雑で大変な作業です. 同じ時間に重ねてはいけないセッションの組み合わせや,特定の時間枠を避けるなどの制約を考慮して編成しなければなりません. 各講演が適切なセッションに割り振られていれば,それぞれのセッションに時間枠を割り当てる作業は,反強磁性ポッツ模型を利用して半自動化することができます. [→ もっと詳しく]

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